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名古屋高等裁判所 昭和32年(ネ)104号 判決

控訴人 青山新七郎

被控訴人 国

訴訟代理人 宇佐美初男 外二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は原判決を取消す、被控訴人は控訴人に対し金百六十一万七千百七十七円及之に対する昭和二十九年四月二十日以降完済迄年五分の割合による金員を支払え、訴訟費用は第一、第二審共被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の陳述は左記の外原判決事実摘示と同一であるから之を引用する。

控訴人の陳述

控訴人は原審において被控訴人に対し不法行為による損害として合計金四百九十九万六千二百十八円を請求したが右の請求を減縮して直接の損害なる

(1)  裁判費用金十三万三千九百七十七円

(2)  失業の為の損害金として失職したる昭和二十三年一月より昭和二十九年三月迄即ち控訴人が原審に本訴を提起した時迄に得べかりし財団法人高田慈光院々長としての諸給与金六十六万八千九百円並昭和二十九年四月以降原審における訴状訂正時なる昭和三十一年十一月迄に同院々長として得べかりし給与金六十三万二干円

(3)  慰藉料二十万円

以上合計百六十三万四千八百七十七円より控訴人が刑事補償により交付を受けた補償金一万七千七百円を差引いた金百六十一万七千百七十七円及之に対する本件訴状送達の翌日なる昭和二十九年四月二十日以降完済迄年五分の割合による損害金の支払を求める。

証拠〈省略〉

理由

成立に争なき乙第十九号証によれば控訴人は昭和十八年二月から財団法人高田慈光院々長事務取扱に就任し、自活することのできない老齢者を同院に収容救護すべき同院の事業を主宰していたものであるところ、成立に争なき甲第二乃至五号証、同第八、十四、十五号号証によれば、控訴人は昭和二十二年十二月二十三日午後七時三十分津警察署勤務司法警察吏巡査部長清水源道により三重県河芸郡一身田町大字一身田二百七十六番地高田慈光院内控訴人居宅において逮捕せられ、同月三十日津地方検察庁検事山本稜威雄により業務上横領罪として津地方裁判所に起訴せられ更に昭和二十三年一月十四日同検察庁検事藤直道により遣棄罪として追起訴せられ、昭和二十三年二月十九日津地方裁判所において業務上横領並遺棄罪として懲役二年に処せられ、控訴して昭和二十四年十二月二十七日名古屋高等裁判所において遺棄は無罪、業務上横領罪として懲役十月、三年間執行猶予の判決言渡を受け、上告して昭和二十六年一月二十五日最高裁判所において原判決を破棄し事件を名古屋高等裁判所に差戻すとの判決を受け、差戻後の名古屋高等裁判所において昭和二十六年八月六日業務上横領も亦無罪の判決を受け、控訴人に対する公訴事実は凡て無罪であることが確定したことを認め得る。

そして控訴人は罪がないのに司法警察官吏、検察官、裁判官により控訴人に対する逮捕、事件送致、起訴、有罪判決が行われ、其の為めに控訴人は裁判費用の支出を余儀なくされ、地位、名誉、職を失つて社会的に葬られ損害を蒙つたと主張するので果して右公権力の行使につき法令の違背があつたかどうか及右行使に当つた公務員に故意又は過失があつたかどうかについて審理する。

第一、逮捕について

成立に争なき乙第一乃至五号証及原審証人服部正一の証言によれば昭和二十二年十二月二十三日午後四時四十分駐留軍三重軍政部ワード大尉は津警察署長矢代勝弥に対し高田慈光院長なる控訴人青山新七郎は地位を利用して収容者の受配物資を横領しているとの理由で同人を直に検挙留置すべきことを指令したので同警察署長は津地方検察庁により右検挙は日本法令による犯罪捜査として行うべきものであることを確めた上、同警察署勤務司法警察吏巡査部長清水源道をして前同日午後七時三十分頃日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第八条第一項第二号により前記場所において控訴人を急速を要し裁判官の逮捕状を得るいとまなきものとして緊急逮捕し、翌二十四日津地方裁判所判事坂本収二によつて控訴人に対する逮捕状が発せられたことを認め得る。

そこで前記巡査部長清水源道の為した緊急逮捕について見るに右応急措置法による緊急逮捕は特定の罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があることを要するに拘らず乙第三号証前記緊急逮捕報告書によれば逮捕の理由は「地位を利用して収容者の受配物資を横領した嫌疑による」という漠たるものであつて果して捜査官が特定の犯罪の存在を疑うべき充分な理由を持つていたかどうか疑わしいのみならず原審証人服部正一、矢代勝弥(第一、二回)、平岡祐太郎の名証言によるも右逮捕当時嫌疑の充分な理由があつたとは認め難い。尤も原審証人服部正一の証言によればワード大尉の説明は「高田慈光院に収容されている二、三の老人が直接軍政府に出頭して控訴人は受配物資を横領して我々に食べさせない。その為め多数人が死亡したと証言した」というのであるが此の程度のものを以て嫌疑の十分な理由とするには不相当であつて捜査官として尚具体的に何を横領したかを掴み得るに足る資料の蒐集に意を尽すべきであつたと謂うべく、従つて前記緊急逮捕は其の要件を具備していなかつた違法がある。

然し前記乙第四号証及成立に争なき乙第十号証によれば同月二十四日津警察署勤務司法警察官警部補服部正一は高田慈光院農夫上島益吉を取調べた上津地方裁判所に対し控訴人は高田慈光院の事務処理に当り其の任務に背きて電気工事費名下に昭和二十二年三月三十日同院の現金九百五十円を領得して同院に損害を及ぼした犯罪の嫌疑ありとして逮捕状を請求し同日前記の如く同裁判所判事坂本収二による控訴人に対する逮捕状が発せられているのであつて前記乙第十号証上島益吉に対する聴取書によれば右犯罪を疑うに足りる相当な理由があると認められるから右逮捕状による逮捕は適法であつて結局控訴人に対する昭和二十二年十二月二十三日の逮捕拘禁は違法であつたが其の翌二十四日以降の逮捕による拘禁は適法であつたと謂わなければならない。

第二、事件送致及公訴の提起について

成立に争なき乙第十四号証、甲第十号証によれば津警察署司法警察官矢代勝弥は昭和二十二年十二年三十日控訴人に業務上横領、背任脅迫の嫌疑ありとして犯罪事実を具体的に指示して三重検察庁に事件を送致したことが認められるが成立に争なき乙第八、九号証(控訴人に対する司法警察官の聴取書)、乙第十、十一号証(上島益吉に対する司法警察官の聴取書)、乙第二十五乃至二十八号証(藤田捨蔵、細川義男、鬼頭喜代三に対する司法警察官の聴取書)、乙第二十九号証(加藤きよの始末書)によれば捜査官が右犯罪事実の嫌疑ありとすることは相当と認められ違法の点はない。

成立に争なき甲第十号証、同第十四号証によれば昭和二十二年十二月三十日津地方検察庁検事山本稜威雄は津地方裁判所に控訴人に業務上横領罪ありとして公訴を提起し其の公訴事実は控訴人は

(一)(イ)  昭和二十二年三月三十日頃高田慈光院収容舎改築工事特別会計費より電球及笠購入名下に金九百五十円

(ロ)  昭和二十一年十月頃より昭和二十二年四月頃迄の間に同院収容舎改築工事特別会計金より建築費名下に金二万九千五十六円七十銭位

(ハ)  前同一機会に右特別会計金雑工事費名下に金三千四百五十九円

(ニ)  昭和二十二年八月頃改築工事の為め受配せる同院所有の釘九十瓩を保管中細川義男に金四千九十二円にて売却し

(ホ)  同年正月頃前同様改築工事の為めに受配せる同院所存のガラス三十枚位を保管中鬼頭喜代三に金四千五百円にて売却して以上業務上保管にかかる金員物資を自己の生活費選挙運動費用等に領得横領し

(二)  昭和二十二年一月より同年十月十日迄の間において酒類販売業加藤きよ商店より受配した収容者用配給酒一斗九升二合の中一斗四升二合位を自己又は大工工事人藤田捨蔵、高田慈光院理事等の利益を図る為め任務に背きてそれらの者と共に飲酒し収容者に其の当然受くべき配給酒の財産上の利益に損害を加えたと謂うに在つて右犯罪事実については前記乙第八、九号証、同第十一号証、同第二十五乃至二十九号証等は検察官が公判を請求して有罪の判決を得べき見込ありと思料するにつき相当な資料と認むべきものであつて右起訴につき違法の点はない。

更に成立に争なき甲第十五号証によれば津地方検察庁検事藤直道は昭和二十三年一月十四日津地方裁判所に対し控訴人を「控訴人は高田慈光院長心得として老衰の為め自活すること能はざる者を養育すべき義務を有するものなるところ目下我国における主食調味料等の配給量は生命を維持する上における最少限度の量にして尠くとも配給量丈の食糧は之を収容者に支給し万一配給量のみにては不充分なるものと認めたるときは蔬菜其の他にて不足量を補う等凡ゆる努力を為し収容者の生存に必要なる保護を為すべき責任あるにも拘らず昭和二十二年一月頃より右努力を為さざるのみならず配給量丈の食糧すらも与えずして渡辺はつ外十八名の収容者に対し其の生存に必要なる保護を為さざりし遺棄の罪を犯した」ものとして追公判請求を為したことが認められるが、成立に争なき乙第三十乃至三十八号証(収容者等に対する検察官等の聴取書、収容者懇談会状況書)によれば検察官が右犯罪につき公訴を提起すべき嫌疑ありと認めたことは相当であつて之亦違法な点はない。

第三、第一審判決について

控訴人に対する前記公訴は津地方裁判所に提起せられたのに拘らず成立に争なき乙第十七、十八号証、甲第四号証によれば当時簡易裁判所判事都築一馬が昭和二十三年一月十二日及同月十九日の二回に亘り控訴人に対する前記被告事件につき公判の審理を為したことが認められ、右は津地方裁判所を構成すべき権限なき裁判官による違法な審理であつたと謂わなければならない。

然し成立に争なき乙第十九、二十、二十一号証によれば津地方裁判所判事生貝隆は昭和二十三年二月三日第三回公判を開廷し第一、二回の公判手続が適法でなかつたことを理由として更に改めて審理する旨を告げ検察官の公訴事実の陳述、之に対する被告人の陳述、証人の訊問等凡ての審理をやり直して判決を為すに至つたことが認められるから第三回以後の公判手続に違法の点はない。

そして第一審判決の控訴人に対する有罪の認定は前記甲第二号証によれば前記公訴事実(一)の(イ)(ロ)(ハ)の金員の業務上横領、其の(ニ)(ホ)の物品の業務上横領、(ニ)の酒給酒の業務上費消横領及追公判請求にかかる遺棄の犯罪事実の証明ありとするもので、其の証拠として挙示するものは右(一)の(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)及(二)は控訴人の第三回公判廷における自白(一)の(イ)は第四回公判廷における証人上島益吉の証言及押収された領収書の記載、遺棄の事実は証人恒川和夫、江崎かね、増谷とも、大河内とく、安濃田と志、今田すゑの証言である。そして前記乙第十九号証判事生貝隆審理の第三回公判調書の前記の如き控訴人の自白、乙第二十号証同判事審理の第四回公判調書の証人上島益吉の証言、成立に争なき甲第十九号証ノ一、二、三、六、九、一〇、一一、判事生貝隆による前記証人恒川和夫、江崎かね、増谷とも、大河内とく、安濃田よ志、今田すゑの訊問調書によれば裁判官の良心に従う自由心証上前記証拠の証明力を認めることは可能と謂えるのであつて右判決に違法の点はない。

第四、差戻前第二審判決について

前記甲第三号証によれば名古屋高等裁判所は控訴審として前記公訴事実(一)の(イ)(ニ)(ホ)の金品の業務上横領、(二)の配給酒の業務上横領、追公判請求にかかる遺棄の事実は犯罪の証明不十分として無罪とし、前記公訴事実(一)の(ロ)の業務上横領金額を公訴事実及第一審判決の認定より五百円だけ多額に二万九千五百五十六円七十銭位と認定し、公訴事実(一)の(ハ)は原審通りの認定を為し、右の犯罪認定の証拠として控訴人の第二審公判廷における供述(乙第二十三号証)、控訴人の原審第一回(乙第十七号証)及第三回(乙第十九号証)各公判調書の控訴人の供述記載、控訴審における証人藤田捨蔵に対する証人訊問調書、長井徳次郎の始末書(乙第二十四号証ノ一、二、三)上島益吉に対する司法警察官の第一回聴取書(乙第十号証)、控訴人に対する司法警察官の第一因聴取書(乙第八号証)を挙示している。そして右控訴人に対する原審第一回公判調書(乙第十七号証)は前記の如く控訴人に対する被告事件を審理すべき権限なき簡易裁判所判事によつて為された違法な審理であつて第二審判決が右違法な公判調書の記載を証拠と為したのは違法である。然し第二審判決が挙示した其の他の証拠(乙第二十三号証、同第十九号証、同第二十四号証ノ一、二、三、同第十号証)によれば控訴審においても(一)の(ロ)の横領金額は第一審判決通り二万九千五十六円七十銭位と認定し、(一)の(ハ)の横領金額も第一審判決通りの認定を為すことは可能と認め得るものであつて結局第二審判決は違法な原審第一回公判調書を採用して(一)の(ロ)の横領金額を五百だけ多く認定した失当がある。

第五、以上第一乃至第四の逮捕、事件送致、起訴、有罪判決等の公権力の行使について当該公務員に過失があつたかどうかについて

前記第一の逮捕について見るに巡査部長清水源道による緊急逮捕はしばらく措さ、判事坂本収二の逮捕状による控訴人の拘禁については前記の如く乙第十号証は犯罪を疑うに足りる相当なる捜査段階における資料であつて十分なる注意を為すならば其の価値を疑うべかりしものであつたという状況は認め難いから右逮捕について裁判官警察官に故意又は過失があつたとは謂い得ない。

次に事件送致及起訴について見るに、前記第二に挙示した乙第八乃至十一号証、同第二十五乃至三十八号証は犯罪嫌疑の資料として又公訴を提起して有罪の判決を受け得べき見込ありと思料するにつき相当なる犯罪捜査資料であつて、十分なる注意を為さば何れも其の価値を疑うべきであつたとの事情は認められないから検察官等捜査機関に起訴等につき故意又は過失があつたことは認め難い。

更に第一審判決についても判事都築一馬による第一、二回公判手続はしばらく措き、判事生貝隆による公判審理には手続上の違法はなく且其の有罪判決についても其の挙示する証拠は前記の如く当該裁判官の良心的な自由心証により其の証明力を認めることの可能な範囲内のものであつて特に其の証明力を疑うべかりしものであつたとの状況は見出し難いから右有罪の判決を為すにつき故意又は過失があつたとは認められない。

又差戻前第二審判決についても違法な手続であつた第一審第一回公判調書を証拠に援用した点を除き其の他に挙示する証拠によれば、前記の如く有罪の認定は可能なものであつて之亦其の証明力を当然疑うべきものであつたと謂つて当該裁判官の故意又は過失を責むべき事情はない。

されば控訴人が冒頭説明の如く終局において無罪の判決が確定し結局控訴人は罪なくして逮捕拘禁され起訴されて一旦は有罪の判決を受け其の為めに高田慈光院良事務取扱の職を辞して収入を失つたことや、拘禁の苦痛、名誉信用の喪失、無罪の判決を受ける為めの第一、二、三審を通じての多額の裁判費用の出費等によりて損害を蒙つたとしても以上の公務員に故意過失が認められない以上国に対して其の損害賠償請求を為すは失当であると謂わなければならない。

第六、前記第一、第三、第四に挙示した局部的違法手続について

前記第一の昭和二十二年十一月二十三日に為した巡査部長清水源道の緊急逮捕は前記の如く違法であつて之については之を指揮した警察官に緊急逮捕の要件につき十分注意すべきであつたのに其の至らなかつたことの過失があると認められるが、右によつては控訴人は前記の如く其の一日だけの違法な拘禁による不利益を受けたものと謂うべきである。

前記第二の第一審公判手続中其の第一、二回公判手続が受訴裁判所を構成すべき権限なき裁判官によつて審理された違法も当該裁判官に自己の権限の範囲に不注意の過失があつたものと認められるが之によつて控訴人が受けた不利益は其の無効な手続によつてそれだけ審理が遅延したことに外ならない。そして成立に争なき甲第八号証、同第十二号証、同第十三号証、乙第二十二号証によれば控訴人は前記の如く昭和二十二年十二月二十三日逮捕され昭和二十三年二月十九日保釈されるまで五十九日間逮捕状及勾留状によつて拘禁されていたのであるが其の内違法な第一審第一回公判の行われた昭和二十三年一月十二日から同月十九日の違法な第二回公判を経て昭和二十三年二月三日適法な第三回公判が開かれるまでの二十三日間は違法な手続によつて審理が長引いた勾禁日数と謂わなければならない。前記第四の差戻前第二審判決が第一審第一回の違法なる公判手続による公判調書を証拠として控訴人の横領金額を五百円だけ多く認定したことも証拠の選択上不注意の過失を認めなければならないが、之によつて控訴人が受けた不利益は横領金額をそれだけ多く認定されたことである。

以上の不利益による損害については控訴人は昭和二十二年十二月二十三日から昭和二十九年二月十九日までの全拘禁期間に対し刑事補償法により一日金三百円の割合による刑事補償金一万七千七百円の交付を受けたことは当事者間争がないから右の金額を以て控訴人の前記不利益による損害は賠償せられているものと認めるのが相当であつて右を超ゆる損害を蒙つたものと認めるに足りる証拠はない。即ち昭和二十二年十二月二十三日の違法な逮捕さえなかつたならば昭和二十二年十二月二十四日判事坂本収二の逮捕状による逮捕は行われなかつたであろうし又事件送致や起訴も行われなかつたであろうということは前記第一、第二の認定事実から見てそのようには認められないし、又第一審第一、二回の不適法な公判手続さえなかつたならば第一審の有罪判決は為されなかつたであろうということ右前記第三の認定事実から見てそのようには認められない。更に差戻前第二審が第一審第一回の公判調書を証拠に採用しなかつたならば第二審の有罪判決は為されなかつたであろうということも前記第四の事実から見て其のようには認められない。従つて上述の不利益以上に控訴人が蒙つた損害を認め難いのである。

然らば控訴人の本訴請求は失当であつて全部之を棄却すべく、之と同趣旨に出でた原判決は正当である。

仍て本件控訴を棄却すべく民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条、第八十九条に従い主文の如く判決する。

(裁判官 山田市平 県宏 小沢三朗)

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